右腕の“バ”…私はバラが怖い

西瓜が食べたい。
あの清涼感が好きだ。昔から、ずっと好きだ。

とある時から、果物が食べられなくなった。食べると舌の奥からノドにかけて一気に痒くなるのだ。リンゴが1番、辛かった。桃、さくらんぼ、いちごもダメになった。不思議だったが、西瓜やメロンは食べられる。自分の解釈では、ツルの物は食べられるのだと思うことにした。ツルのものはきっと野菜なのだろう。だってトマトもダメなのだ。トマトは果物だと私のカラダは判断したと思う。

その話について少し経ってから誰かに言われた、「それ花粉症だよ」と。「バラ科の果実がだめなんじゃない?バラがダメなんだよ」
本当なのか?ちゃんと診断を受けたことはないが、そう言われたらそんな気がしてきて、自分は花粉症なのだと思うようになった。そして果物が食べられないことも「花粉症なんです」と言うことで、好き嫌いが多いというレッテルから逃れられる気もしてきてありがたかった。

そしてとある夏、家族で焼肉をすることになった。週末はよくしていたので珍しくもないが、庭で火を起こして、家族でもくもくと食べる。いつもの家族の風景だ。
その日も準備をするために庭をバタバタとしていた。物置から椅子やテーブルを運んだりして、忙しかった。

花壇に躓いた。硬いレンガに足を引っ掛けて、花壇に倒れ込んだ。その時目の前に小さい植物があり、私はそれを抱き抱えるようにカラダを支えた。レンガにあたった足の指から血が出た。痛い…でもこれくらいですんでよかった。絆創膏を貼って、焼肉を味わった。

食べ終えた夜、くつろいでいると右の二の腕が熱くなってきた。なんだろう、そう思って見てみると…大きなミミズ腫れができていた。

 バ

そう、“バ”の文字のミミズ腫れができていたのだ。嘘だろ。家の中から花壇に目をやると、私が抱きかかえた植物が少し傾いていた。そう、バラだったのだ。バラのトゲでひっかいたようだ。それがなんと“バ”の文字に。冗談みたいだったが、これは呪いか…それとも守護霊的な…言霊的な?不思議すぎる…

それから私は未だに、バラに怯えている。